コケに魅了された木村全邦さん
(森と水の源流館スタッフ 木村全邦さん)

500年の歴史を持つ吉野林業の中心地である川上村は、吉野川(紀の川)の最源流です。源流部の三之公と呼ばれる場所に村が購入・保全するほぼ手つかずの天然林「吉野川源流——水源地の森」(約740ha)があります。
今回は、その水源地の森を管理している「森と水の源流館」のスタッフでコケ植物の研究者でもある木村全邦さんをご紹介します。

子どもたちのコケ観察会
「森と水の源流館」の職員に応募した理由は何ですか。
平成14年「川上村が原生林を買った」という情報は、大阪市立自然史博物館でコケ植物の標本整理に当たっていた私の耳にも入ってきました。感想は「何で?」謎深かった吉野地方の最源流の森が守られるというのはすばらしいことと同時に、こんなに小さな村の取り組みだというのは驚きでした。
そんな折、調査協力のお話をいただき、思いがけず、水源地の森に関わることになりました。 最初は「すごいものが見つかる!」と、学術的評価軸で森を見ていました。ところが、ある日、森の中で寝転がって、空を見上げた時「この森すごい!」と、理屈抜きに感動しました。日本各地の森からボルネオの森まで見てきましたが、こんな気持ちは初めてでした。森に恋したのでしょうね。そんな時、職員募集の公募が出ました。何だか、森に呼ばれているような運命的なものを感じ、即応募しました。

木村さんを虜にするコケ
「森と水の源流館」の魅力は?
「森と水の源流館」は川上村の自然、歴史、文化が学べる展示施設ですが、特に面白いのが、色々な人が集まる場所だということです。
私が就職したころには、川上生まれ川上育ち、林業一筋、辻谷達雄館長はじめ自然ガイド、歴史、民俗などを専門に持つ多彩なスタッフがいて刺激を受けましたが、村外からも川上村の自然や文化を守りたいと熱い思いで通ってくださる研究者の皆さん、「川上宣言」に共感して応援してくださる皆さんが集まります。
特に友の会「源流人会」の皆さんの存在は大きく、多くの活動にご参加いただいています。このように、様々なバックグラウンドを持つ皆さんが集まり、学びあい、活動の範囲が広がっていくのが一番の魅力だと思います。


「吉野川源流——水源地の森」の魅力とは
「百聞は一見に如かず」とだけ、言いたいところです。
私は、ご案内するときに魅力や大切さを伝えたくて「生き物たちのはたらきで・・」「こんな風に水が守られて・・」「生物多様性って・・」と、ついつい説明しがちです。
本当は、そんな言葉はいらないのだと思います。来た人の感想では「コケがきれいですね」「大きな木が並んでいて感動した」とか人によって言語化したときの表現は違いますが、必ず素晴らしい何かを見つけられる存在感のある森です。
私は入るたびに、この森に守られている感覚を持っています。だから、この森を大切にしたい思いますし、皆さんにもそう感じてもらえればと、うれしく思います。
木村さんの本当に「水源地の森」に対する思いの強さを感じるインタビューでした。
語らずとも感じてもらえる大自然の案内人ですが、専門のコケのことについて語りだすと止まらなくなる木村さんと「コケ観察会」(7月20日開催)に参加してみませんか。

吉野川源流-水源地の森




