秋の気配が深まる頃、吉野川の源流・川上村では、村のあちこちでこの季節ならではの風景が広がります。
各地区では秋祭りが行われ、山では9月頃から栃の実拾いが始まります。
祭りでは餅が飛び、山では鹿と競争するように栃の実を拾う——。
自然の恵みと地域の文化に触れる、川上村ならではの秋の暮らしです。
今回は、川上村の人が秋になると始める2つのことをご紹介します。
川上村の人が秋になると始めること
― 祭りと山の恵み、源流の村の秋の暮らし―
地域の秋:各地で餅撒き
秋になると、川上村の各地区で秋祭りが行われます。
祭りの楽しみのひとつが、「ごく撒き」と呼ばれる餅撒き。
祭りの日には、集まった人たちに向かって餅が撒かれ、歓声が上がります。
そして、川上村の秋祭りは地区によって少しずつ違います。
中には、「千本搗き(せんぼんづき)」と呼ばれる、独特の餅搗きを行う地域も。
歌に合わせて、色とりどりの飾りをつけた杉の棒で餅を搗く、地域ならではの祭りの風景です。
同じ川上村の秋祭りでも、地区ごとに受け継がれてきた文化や習わしがあります。
かわかみ源流ツーリズムでは、川上村の秋祭りを訪ねるツアーも実施しています。
地域に伝わる祭りの風景を、地元の案内人と一緒に訪ねてみませんか。
山の秋:栃の実拾いから栃餅へ
9月に入ると、川上村では栃の実拾いが始まります。
秋の山で落ちた栃の実を拾うのですが、実は村の人たちだけが狙っているわけではありません。鹿も栃の実を好むため、「鹿に食べられる前に」と、競争するように拾うこともあるそうです。
拾った栃の実は、すぐに食べられるわけではありません。流水につけて処理した後、10日ほどかけて乾燥させ、殻を割って実を取り出します。
そして、10月中旬から始まるのが「栃の粉」づくり。栃の実はアクが非常に強いため、何度も洗いながら、薬や灰汁を使って時間をかけてアクを抜いていきます。
苦みが抜けたことを確かめてから蒸し、粉にして保存。そうして大切に仕込まれた栃の粉が、年末の餅つきで、もち米と一緒に搗かれて栃餅になります。
秋の山で拾った一粒の実が、長い時間と手間をかけて、ようやく一つの餅になる。
栃餅には、山の恵みを無駄なくいただいてきた、川上村の人々の知恵と暮らしが詰まっています。













