杉・桧とともに暮らしに寄り添って
(ガイドインタビュー:白い犬 山本直美さん)
暮らしの中にあるとうれしい作品を生み出している「白い犬」の山本直美さん。「自分が触れて気持ちの良いものをカタチにしたい」と、生まれ育った川上村伯母谷で創作活動をされています。
ワークショップで優しく見守る山本さん
家具作りを学んでいた時には、漠然と「地元である川上村の杉や桧を使ってみたい」と思っていたという山本さん。ところが実際に扱ってみると、木がやわらかいため、ちょっとしたことでもキズがついてしまったといい、当初はその扱いに苦慮していたそうです。
ある日、積み木のイスを納めたコーヒー屋さんを訪れた時のこと。5年ぶりに見たのは、良い具合に色が変化しているイスでした。キズも増えているけれどそれも“味”になっていたといいます。「いろんな人が触れることによって、イスが“育って”いて。木の良いところであるやさしさやぬくもりになっている」と気づいたといいます。
日々木に触れているうちに「何より、自分自身が癒されているなと気づいた」という山本さん。その気持ちがそのまま表現されているのが、思わず手にとって触りたくなる「癒しのリンゴ」です。綺麗に合わさった年輪が美しい模様となっており、ひとつとして同じものはありません。
年輪が美しい「癒しのりんご」「癒しの柿」
模様をぴったり合わせる山本さんの技。「素材である杉がまっすぐ育っているからできる」とのこと。柔らかさとあたたかみのある吉野杉の良さを活かした作品は、リンゴから柿、ひな人形と広がっています。「たくさん触って、自分なりに育ててもらいたいです」。
ワークショップや体験においても、山本さんは「参加者が自由に作る」ことを大切にされています。それは「形が決まったものよりも、自由に自分なりの形ができること」に魅力を感じているからこそ。自由と言われると戸惑う方も多いようですが、大人も子どもも頭をフル回転させ手を動かし、作りあげた作品の出来にはみんな満足そうです。
杉と桧のお正月飾りつくり(2023年実施)
杉と桧のお正月飾りつくり(2024年実施)
ところで、屋号の「白い犬~Anjing Putih」は山本さんにとって大切な存在であるワンちゃんから。小さいころからずっと側には白い犬がいて、今の子は4代目。「私にとっては癒しの存在で。白い犬という名前にしたのも、私の作品がみなさんにとって癒しになれば…」と穏やかに話してくれました。山本さんが作り出すあたたかい作品、やさしい世界に触れてみてはいかがでしょうか。
「白い犬」の作品は展示販売会などで出会えることも
※「白い犬」の作品は、オンラインショップ、道の駅杉の湯川上、匠の聚、なら歴史芸術文化村工芸品館で購入できます。