川上村の釣り名人が「川」と過ごした70年
(あまご釣り名人 奈加憲人さん)
川上村で生まれ育って77年。小さなころから遊び場は家の近くの「川」でした。そんな「川」とともに人生を歩んできた奈加さんにお話しをお伺いしました。
子どもの頃から色々な釣りを楽しんでいた奈加さんが本格的にアマゴ釣りを始めたのは30歳ごろ。当時は解禁日の前夜から河原で友人と夜が明けるのを待ったそうです。解禁日の3月初旬は雪が降るほど寒い日もあり、釣り糸に雪が積もる中で釣りをすることもあったそうで、手がかじかんでエサが中々うまくつけられない中でも、アマゴとの勝負を楽しんだそうです。
釣り場の中奥川
奈加さんの釣りはエサ釣り。こだわりは天然のエサ(川虫)を使うこと。川に入り石をめくり、ヒラタカゲロウの幼虫などを探します。朝早くから川に行き、1時間ほどエサを探し歩くこともあるそうでうす。時には川で滑ってこけたり、岩の隙間にはまったり、岩をよじ登った瞬間鹿に遭遇するなど、大変なこともたくさんあったそうです。「今考えるといつ命を落としていてもおかしくなかったかも・・・」と奈加さん。
そこまで奈加さんを熱くさせるアマゴ釣りの魅力は何なのでしょうか。
「息をひそめ、そおっとポイントにエサを振り込む。かかってくれると嬉しくて、また釣ろうってなる」。多い時には一日で80匹ほど釣り上げたこともあったそうです。
渓流釣りを楽しむ様子
釣りの楽しみは他にもあり、ヤマブキやツツジなど季節の花々を楽しんだり、初夏には綺麗な新緑に囲まれリフレッシュできたり、川のせせらぎ、カジカガエルのきれいな鳴き声に耳を傾けたり。ただ釣りをするだけではなく、五感で自然を感じることも楽しみの一つだそうです。
「自然に感謝することも大切」と奈加さん。釣り糸や仕掛けなどのゴミは必ず持ち帰り、目につくゴミがあれば拾って帰ることも。「マナーのいい人もいるけど、釣っているところに来て前をバシャバシャと歩き、釣り場を荒らす人もいて、そんなときは気分が悪くなるなぁ。」と少し残念そうでした。ですが、自分ももしかしたらマナー違反をしているかもしれない。奥さまには「自分だけの川でもないんやから」とお互いに人のことを考えることが大切だと言われるそうです。
大事なのはいつまでも中奥川でのアマゴ釣りが楽しめるようにすること。
「好きなことをして、自然に癒され、これだけ幸せなことはないわ」と釣りの魅力を教えてくださいました。
釣り教室で参加者を優しく見守る様子
体験プログラム【釣り教室】の様子